2017年10月01日

娯楽読物2-13 三人の警官は、おもわず立ちどまって

 三人の警官は、おもわず立ちどまって、そのほうを見つめました。うす暗い中にも、蔵の白っぽい壁は、まだよく見えます。その壁を、金色の小さなものが、スルスルと、よじ登っているでは、ありませんか。

 よく見ると、けものでも、鳥でも、虫でもありません。人間の形をしているのです。二十センチぐらいの、金色の西洋のよろいを着たこびとです。顔も頭も金色です。

「あいつだ。ここのうちの子どものいったのは、ほんとうだった。あんな小さなこびとにばけてしのびこもうとしているんだ。」
「よし、ひっつかまえろ!」

 三人は、蔵の壁にむかってかけだしました。しかし、小怪人のほうが、すばやかったのです。警官たちが五メートルも走らぬうちに、金色のこびとは、スルスルと窓によじ登って、鉄ごうしの間から、蔵の中へ消えてしまいました。鉄ごうしの内がわには、ガラス戸がしまっているはずなのに、それをとおりぬけて、中へはいってしまったのです。

 一階の窓でも、地面からは高いところにあるので、台がなければ、とても、中をのぞくことはできません。警官たちはしかたがないので、その窓の下から声をそろえてどなりました。
「金色のこびとが、窓からはいりました。用心してください!」

 蔵の中へ、その声が、かすかに聞こえましたので、山下さんと六人の少年は、はっと身がまえをして、キョロキョロと、あたりを見まわしました。
 蔵の中は、もうまっ暗ですから、電灯がつけてあります。その明るい光で、すみずみまで、よく見えるのです。

 すると、そのとき、窓の下の本棚と本棚の切れめになっている、くぼんだところから、金色のものが、パッととびだして、まんなかの大金庫のうしろへかくれました。黄金怪人です。こびとになって、窓からしのびこんだ怪人は、中へはいると、子どもぐらいの大きさになって、本棚のくぼみから、とびだしてきたのです。

 蔵のすみずみにかくれていた少年団員たちは、小林団長をまっ先に、それぞれ、かくれ場所から、大金庫の方へかけよろうとしましたが、そのとき、金庫のうしろから、ふたたび、姿をあらわした怪人を見ると、あっと立ちすくんでしまいました。それはもう子どもではなくて、見るも恐ろしい、あのおとなの黄金怪人だったからです。

 全身、金色にかがやく怪物が、大金庫の正面に、こちらを向いて立ちはだかり、両手をふりうごかして、歯車のきしるような声で笑っているのです。まっ黒な三日月がたの口がキューッとまがって、おばけのような黄金仮面が、笑っているのです。

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posted by 美健マスター at 06:00| ★娯楽読物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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