2017年09月24日

娯楽読物2-6 井上君とノロちゃんは

 井上君とノロちゃんは、三人の黒覆面に、とうとう、つかまえられてしまいました。そして、たちまち手足をしばられ、さるぐつわをはめられ、黒いきれで目かくしまでされて、森の外に待っていた大きな自動車の中へはこばれました。

 目かくしされているので、なにもわかりませんが、もう自動車は走りだしていました。二少年がこしかけているとなりには、さっきの悪者のひとりが、がんばっているようすです。

 おくびょうもののノロちゃんは、これからどうなることかと、恐ろしさに、ただもうブルブルふるえていました。となりにいる井上君には、それがよくわかるので、元気づけようとするのですが、さるぐつわで、ものがいえません。しかたがないので肩をグングンおしつけて、

「ぼくも、ここにいるんだから、だいじょうぶだよ。」
という、あいずをするのでした。

 自動車は、ひじょうなはやさで走っていましたが、三十分もたったころ、ピタリととまり、ふたりはまた、あらくれ男にだきあげられて、どこかの家の中へつれこまれ、階段をあがったり、廊下のようなところを、グルグルまがったりして、ひとつの部屋の中へいれられました。

 そのとき、男たちは、手ばやく二少年の縄をとき、目かくしとさるぐつわをはずして、つきとばすように、その部屋の中へいれると、ピシャンと、ドアをしめて、そとからかぎをかけてしまいました。部屋の中は、なぜかまっ暗です。

「ああ、井上君!」
 ノロちゃんは、口がきけるようになったので、井上君の名をよんで、手さぐりで、そのからだに、しがみついていきました。

「ノロちゃん。しっかりするんだ。ぼくたちは、少年探偵団員なんだからね。きっと、小林さんや、明智先生が、助けに来てくれるよ。」
「だって、せっかく、道にすてたB・Dバッジが、なんにもならなかったじゃないか。こんな遠くへ自動車でつれてこられたんだから。ぼくたちのいくさきは、だれにもわからないよ。」

「ぼくは、黒覆面につかまったとき、バッジののこりを、みんな、あの森の中へすててしまった。あそこには、バッジが、たくさん落ちているはずだ。それを、少年探偵団員のだれかが見つけてくれたら、あそこで、何かあったということがわかるよ。そして、バッジのうらには、ぼくたちの名まえが、ほりつけてあるんだから、井上と野呂のふたりが、森の中で、ひどいめにあったということが、わかるはずだ。それだけでも、あのバッジを落としたことは、むだじゃないよ。」

 井上君のいうとおり、B・Dバッジのうらには、団員がじぶんの名を、クギのさきでほりつけておく規則でした。ですから、バッジのうらを見れば、だれが落としていったかということが、すぐに、わかるのです。




posted by 美健マスター at 06:00| ★娯楽読物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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