2017年09月22日

娯楽読物2-4 移動映画館の小型自動車は

 移動映画館の小型自動車は、ふたりの少年をしたがえて、ノロノロと走っていきます。あたりは、だんだん日がくれて、さびしくなり、まっ暗になっていました。
「ノロちゃん、きみ、バッジもってるかい?」
 井上君が、ノロちゃんの耳に口をつけるようにして、ささやきました。

「うん、ポケットにあるよ。少年探偵団の規則だもん。いつでも、バッジを三十個ずつ、ポケットへいれておけって。」
「そうだよ。ぼくも、三十個もってるよ。」
 それをささやきあうと、ふたりは、いくらか安心したような顔つきになりました。

 バッジというのは、少年探偵団員が、胸につけているB・Dバッジのことです。このバッジは、団員の目じるしのほかに、いろいろな、つかいみちがあるのでした。

 それは直径一センチ半ほどの、銀色をしたバッジですが、悪人を尾行して、ぎゃくに悪人のためにとらえられたときなど、このバッジを、つぎつぎと道に落としておけば、それを目じるしにして、悪人のすみかがわかるという便利なものです。

 また、悪人とたたかうとき、遠くからバッジをなげつけて、相手を、こまらせることもできますし、どこかの家にとじこめられたとき、窓からこのバッジをへいの外へなげれば、じぶんのいるところを、団員にしらせることもできます。もし、紙と鉛筆を持っていたら、手紙を書いて、その紙にバッジをつつんで、へいの外へなげるという、つかいみちもあります。

 それから、団員が、どこかにかんきんされているとき、その部屋の窓をめがけて、バッジをなげこめば、なかまが助けにきたことを、しらせるてだてにもなるのです。

 井上君とノロちゃんは、そのB・Dバッジを三十個ずつ、ポケットにいれていました。手でさわってみると、ジャラジャラと音がするのです。

「あいつ、なんだか、あやしいやつだから、もしものときの用意に、このへんから、バッジを落としておくことにしよう。二十歩に一つずつだよ。いまから、二十歩あるいたら、ぼくが一つ落とす。そのつぎの二十歩めに、きみが一つ落とす。そういうふうにして、かわりばんこに、道へ落としていくことにしよう。」

 井上君が、ささやきますと、ノロちゃんもうなずいて、
「うん、それがいい。二十歩に一つずつなら、ずいぶん長くつづくからね。」

 このバッジを二十歩ごとに落としておくというのも、少年探偵団の規則でした。だれかが、ゆくえ不明になったときは、まずバッジをさがし、それがみつかったら、そこからどちらの方角へも、二十歩ずつ歩いてみて、つぎのバッジをさがし、それをくりかえして、ゆくえをつきとめるという申しあわせなのです。




posted by 美健マスター at 06:00| ★娯楽読物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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